犬の整形
By Yoshifumi Yamawaki     05/05/2000

 

犬の整形

過去に犬は使役に使われており、その様々な目的の為に 特定の犬種は、尾や耳を切られてきました。それが今尚、単に人間の好みにより 行われています。

整形の歴史

19世紀には

断尾・断耳

この処置を受ける主な犬種

この処置を受ける主な犬種として:

犬種

断尾 断耳
ヨークシャーテリア  
プードル  
フォックステリア  
ボクサー
ドーベルマン
コッカースパニエル  
ジャーマンポインター  
シュナウザー
グレートデン  
イングリッシュ スプリンガー スパニエル  
エアデールテリア  

手術の方法

断尾処置は生後1〜3日で麻酔なしで行われ、断耳は一般的に耳を立たせる為に 生後2〜3ヶ月頃、全身麻酔で耳の軟骨の一部を外科的に切断します。

オーストラリアのクイーンズランド州で、1996年に獣医師100名と ブリーダー100名を調査した結果(クイーンズランド大学獣医学部調査)

現代の痛みに関する科学は進んでおり、間違いなく大きな痛みとストレスを 感じている事は医学的に証明されています。仔犬だから、成犬に比べて 痛みが少ないと思われているかも知れませんが、仔犬の方が成犬に比べ痛み を強く感じるという医学的発表がなされています。 生後数日の仔犬は、充分に痛覚を感じることができるだけの中枢神経が 発達しており、逆に痛覚を和らげる働きをする「痛覚抑制神経」の発達のほう が不十分であり、その為仔犬の方が成犬に比べより強く痛みを感じるという 事実が分かってきました。

西山獣医師によると、断尾手術は助手に新生児をしっかりと持たせ、 尾を消毒し、一気にメスで尾を切断します。 当然出血しますので電気止血器で患部を焼灼したり、あるいは手術用の糸 で縫合します。最後にもう一度消毒液をぬって終了。 一匹あたり通常1分〜2分で手術は終了します。
麻酔や鎮静薬は使用しない為、尾を切断する瞬間、仔犬は大声で悲鳴を上げ、 全身の力をしぼってもがきます、そして悲鳴はその後、患部を焼灼したり、 縫合したりする時も続き、その後悲鳴は弱まって泣き声ともうめき声 ともいえる声に変わり、手術後15分くらい鳴きつづけるそうです。

生後数日の仔犬は、通常肝臓や腎臓の機能が十分に発達しておらず、 麻酔を用いると命を失う可能性が高い為に、無麻酔でこういった残酷な 処置が施されるのです。

断耳手術は、全身麻酔で生後9週〜12週令で耳ブタの軟骨が完全に 発育する前に、通常行われます。 耳ぶたは毛細血管が非情に豊富な組織なので、手術中は比較的多量の出血を 伴います。 また耳ぶたは感覚神経が発達した組織ですから、麻酔から覚めた後は おそらく非常に激しい耳の痛みを経験する事になります。

ヨーロッパ諸国やオーストラリア等では、犬が単に人間の好みで尾や耳を 切る行為をなくそうとしています。 こういった諸国では、断尾、断耳を獣医師が行うと、免許取り消し等の 処分があります。 尾の位置とその動きや耳の動きは、犬にとっては喜び、恐怖、親愛、支配、 遊び、防御等の感情を示す重要な働きをしています。
犬の行動学者の中には、犬にとって尾がない事は、人や他の犬とへの意思の 伝達が十分でなく、他の犬から予期せぬ攻撃を受けたりすると主張する方も います。
いずれにせよ、犬は現代の社会で、家庭の一員として、家族の気持ちを 和らげたり、子供や老人や一部の障害者の精神的なケアーにも役に立つこと がわかっています。
それ故、なおさらはっきりとした意思の伝達をできる事が、なによりも 重要になってくるのです。

Dog is man's best friend と言われています。
そんな犬を単に人間の好みで、尾や耳を切ったりする事がなくなるよう 願っています。

これから、断尾、断耳の対象となる犬種を飼おうと計画されている方々、 できればこういった断尾、断耳を行っているブリーダーからは購入せずに して頂きたいものです。
せめてブリーダーに予約する時に、「断耳、断尾を しないで下さい」と頼んでください。

きっと、近い将来に日本でも尾や耳を切っていないシュナウザーや テリアやボクサーが当たり前になる事と信じております。

(参考文献)

声帯除去手術

犬が吠える事を飼い主が耐えられない、近所から苦情が来て対処に困ってい る等の理由により、犬の声帯の一部を除去し、犬が吠えてもわずかな かすれた音のみしかでなくする手術を行う方がいます。

手術の方法

通常手術は全身麻酔で行われますが、以下の2通りの方法があります。

内式

犬の口を大きく開けて、喉を覗き込んで行う手術方。
この方式の場合は声帯を十分に除去しするのが難しく、手術後もある程度の 声を出す場合が多々あります。

外式

喉の皮膚を切開して外からアプローチする手術方

この方式は声帯を十分に除去しやすいが、喉の部分には重要な神経や 血管が集中しており、一歩間違うと喉頭麻痺を起こし、食べ物を飲み込む 事ができなくなったり、甲状腺機能障害や各種神経麻痺症状が表われます。

さらに危険が伴うのは、通常の全身麻酔は気管チューブを気管に直接挿入し、 そこからガス麻酔を吸引しますが、喉頭部の手術ではチューブが気管を覆い、 手術の邪魔になるために、気管チューブを用いません。
気管チューブを使用しない場合、麻酔の最中に万が一呼吸が停止した場合、 人工的に呼吸を開始することが難しく、命とりになります。 いずれにせよ、非常に危険度の高い手術であり、術後も犬にとって苦痛の 高いものです。

声帯の役割

誰にでも、理解できるように声帯は犬にとって、最大の意思の伝達方法 です、痛み、寂しさ、嬉しさ、怒り等を表現する方法を奪われる事は、 犬にとってストレス以外のなにものでもありません。

歯の切断

人を噛む犬の犬歯を切断してしまう手術をされる飼い主、獣医師がいます。
噛む原因をさぐり、噛まないよう教える、噛む必要が無い事を教える事をせずに・・・
心無い人達により、こんなにも不幸な犬生を負わされた子が、今後は少しでも幸せになりますよう・・・・・

ストリッピング等

テリアやシュナウザー等で、ショウに出す為に体の殆どの毛を、 ゴムサック等をはめた手で抜いてしまう事を、ストリッピングと呼び、 広くドッグショウに参加する犬に、行われています。

体の毛を抜いてしまうと、次にはえてくる毛は固くなります。 この事はショウの為に行われる事であり、犬の健康には一切関係ありません。 ストリッピングをする事により、犬は当然ストレスを受けます。
それ以外にショウに出す為に

等々、今の日本のドッグショウは、犬にとって非情に厳しい環境だと言わざる を得ません。
ショウで楽しむのは、多いに結構な事ですが、どうぞ、こういった事をしてまで、 上位入賞をしようとはしないで下さい。