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コンパニオンアニマルの栄養:獣医師の調査結果
API Report
Companion Animal Nutrition: A Survey of Veterinarians
Translated by Kyoko Machiba
(06/01/2000)
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要約
98年春、コンパニオンアニマルの栄養とペットフードに関する意識調査が行われ、「動物の権利のための獣医師協会」に属する獣医師および獣医師を目指す学生700名に対し用紙が郵送された。150通の回答が寄せられ、これに基づき一覧が作成された。
回答者は、犬にみられる肥満、炎症性腸疾患および発育性骨疾患、猫にみられる肥満、炎症性腸疾患および下部尿路疾患は、栄養状態による病気であると考えている。
約4分の3の回答者が健康なペットの飼い主にも食事のアドバイスを与えており、同程度の回答者がフードを販売していると答えている。獣医師によれば、市販のフードを選ぶ際にはフードの中身、臨床経験、入手のしやすさ、嗜好性、価格、製造元のテクニカルサポート、給与試験の有無などを考慮しているということである。
ペットフードはブランドによって質的な差があると思うかといった問いに対し、65%の回答者が「絶対にあると思う」と答え、ペットフード会社が自社製品の正しい情報を開示していないと考える回答者は68%に上った。
また、ラベル表示の規格化と肉や穀物の質と正体、消化性、栄養の一覧表、副産物の正体、与える際の注意書き、保存料などの情報を求めたいとしている。
9割以上の回答者がペットフードに対し懸念を抱いていると答えている。
肉、脂肪、穀物類の質の低さ、保存料、添加剤、誇大広告、4-Dタンパク質(訳注:食品不適格品:死亡したものの肉、死亡しかけていたものの肉、病気であるものの肉、負傷しているものの肉を意味する英語の頭文字の4つのDという意味)の正体、副産物の正体、不適切な情報、過剰な加工処理、食品汚染、表示に反する中身、過剰なタンパク質や脂肪などが懸念の内容である。
約3分の1の回答者が、病気の治療として手作り食を勧めることが多いと答え、2割の回答者は健康な犬や猫にも手作り食を勧めることが多いと答えている。
回答率が低かったため(21.4%)、この結果には偏りがある可能性があり、「動物の権利のための獣医師協会」のすべての会員に通底するものではない。
獣医師の調査結果
1.栄養状態に影響されて起こると考えられる疾病についてお答えください。
(下記に挙げた疾病にかかわらず、あなたの臨床経験と実際の判
断によってお答えください)
| 疾病(犬) |
影響度(最大値5) |
食事療法を取り入れる(%) |
| 歯の疾患 |
3.2 |
87.0 |
| 炎症性腸疾患 |
3.7 |
99.3 |
| 甲状腺機能不全 |
1.3 |
43.1 |
| 慢性腎不全 |
3.1 |
99.3 |
| ガン |
2.3 |
80.0 |
| 心血管疾患 |
2.5 |
94.5 |
| 糖尿病 |
3.1 |
98.6 |
| 股関節形成不全 |
2.1 |
72.6 |
| 発育性骨疾患 |
3.3 |
92.7 |
| 胃拡張胃捻転 |
2.7 |
79.4 |
| 肥満 |
4.7 |
100.0 |
| 疾病(猫) |
影響度(最大値5) |
食事療法を取り入れる(%) |
| 歯の疾患 |
3.3 |
85.8 |
| 炎症性腸疾患 |
3.9 |
97.3 |
| 甲状腺機能不全 |
1.5 |
46.9 |
| 慢性腎不全 |
3.1 |
99.3 |
| ガン |
2.3 |
78.9 |
| 心血管疾患 |
2.6 |
85.7 |
| 糖尿病 |
3.6 |
98.6 |
| 股関節形成不全 |
3.2 |
93.9 |
| 発育性骨疾患 |
3.6 |
99.3 |
| 胃拡張胃捻転 |
3.8 |
99.3 |
| 肥満 |
4.6 |
100.0 |
2.このほか、栄養状態に起因する疾病または食餌療法を取り入れる疾病は
ありますか?
| 慢性皮膚疾患 |
45 |
| アレルギー |
29 |
| 膵炎 |
14 |
| 疾病全般 |
13 |
| 問題行動 |
12 |
| 免疫疾患 |
6 |
| 膀胱結石 |
6 |
| 骨格疾患 |
5 |
複数回答可
このほか、眼疾患、生殖機能不全、てんかん、貧血、脂質異常、耳疾患、新生児病などの回答があった。
3.飼い主は健康なペットに与える食事に関心を持っていると思いますか?
| 非常に関心を持っている |
73 |
| 何らかの関心を持っている |
69 |
| 関心を持っていない |
5 |
4.あなたは健康なペットに与える食事について飼い主にどの程度アドバイ
スしますか?
| こまめにアドバイスする |
117 |
| 時々アドバイスする |
25 |
| めったにアドバイスしない |
5 |
| まったくアドバイスしない |
0 |
5.栄養補助剤を使用することはどれくらいありますか?
| 頻繁に使う |
55 |
| たまに使う |
61 |
| めったに使わない |
22 |
| 一度も使ったことがない |
5 |
6.疾患に対し処方食を使用することはどれくらいありますか?
| 頻繁に使う |
107 |
| たまに使う |
29 |
| めったに使わない |
2 |
| 一度も使ったことがない |
6 |
7.もし使うならどのメーカーのものですか?
| Hills Science |
121 |
| Iams/Eukanuba |
58 |
| Purina CNM |
57 |
| IVD(Select
Care/Choice) |
41 |
| Waltham |
17 |
8.そのメーカーを選んだ理由は?
| 入手しやすいから |
27 |
| 良質だから |
19 |
| 処方食だから |
18 |
| 給与試験/研究がされているから |
15 |
| 中身の成分から |
15 |
| 自分以外のものが決めたか |
13 |
| 経験から |
12 |
| 効果が高いから |
12 |
| 嗜好性がよいから |
10 |
| 有名な製品だから |
10 |
(複数回答可)
9.ドッグフード、キャットフードを販売していますか?
10.はいの方、どのメーカーのものですか?
| Hills Science |
65 |
| Iams/Eukanuba |
35 |
| Purina CNM |
16 |
| IVD(Select
Care/Choice) |
12 |
| Waltham |
9 |
11.そのメーカーを選んだ理由は?
| 中身の質がよいから |
25 |
| 自分以外のものが決めたから |
16 |
| 効果が高いから/経験から |
15 |
| 入手しやすいから |
11 |
| 嗜好性がよいから |
10 |
| 価格から |
9 |
| 企業サポートがあるから |
8 |
| 研究がなされているから |
8 |
このほか、治療的効果があるから、処方食だから、副産物を使っていな
いから、商品ラインが揃っているから、同僚の推薦、保存料や添加剤が
ほとんどかまったく使われていないから、広告から、などの回答があっ
た。
(複数回答可)
12.あなたの販売していないペットフードを勧めることはどれくらいあ
りますか?
| 頻繁に勧める |
88 |
| たまに勧める |
36 |
| めったに勧めない |
12 |
| まったく勧めない |
3 |
13.あなたはメーカーによってペットフードの質的な差があると思いま
すか。
| 絶対にあると思う |
96 |
| たぶんあると思う |
43 |
| たぶんないと思う |
7 |
| まったくないと思う |
1 |
14.あなたはペットフードメーカーが製品に関する適正な情報を与えてい
ると思いますか?
15.14.の問いにいいえと答えた方、ほかにどのような情報が必要だと思いますか?
| 肉/穀物の質と正体 |
30 |
| ラベル表示の規格化 |
22 |
| 中身の質 |
13 |
| 消化性 |
13 |
| 副産物の情報 |
6 |
| 与え方に関する注意書 |
6 |
| 保存料について |
4 |
| 給与試験の情報 |
4 |
| 健康上の危険性や疾患について |
4 |
このほか、汚染について、添加剤について、処方の変化について、カロリーについて、ビタミン・ミネラルについて、比較情報、真実、などの回答があった。
(複数回答可)
16.ペットフードに関して懸念を持っていますか?
17.はいと答えた方、どういう懸念をもっていますか?
| 肉/脂肪/穀物の質の低さ |
50 |
| 保存料 |
21 |
| 添加剤 |
21 |
| 誇大広告 |
15 |
| 4Dのタンパク質源 |
13 |
| 副産物 |
13 |
| 適切でない情報 |
11 |
| 過剰な加工処理 |
9 |
| 汚染 |
7 |
| 疾病の原因になる |
7 |
| 表示と異なる成分 |
6 |
| 過剰なタンパク質/脂肪 |
6 |
| 遺伝子組み換えのフード |
6 |
このほか、レンダリング加工、安楽死/事故死した原料、発癌性の添加剤、質の管理、適切でない栄養、賞味期限、などの回答があった。
(複数回答可)
(コメント)
- もし人が食べることのできない中身なら、どうしてペットには良いわけがあるだろう。
- 時間がもっとあったら、ペット全員に新鮮な食事を作ってやるのに。
- メーカーの経済的な理由で、消費者には知らされることなく中身の変更がよく行われている。
- 基本的には”買ったもののつけは自分で払え”という感じだ。
- 袋から適切な栄養が与えられると思うか?私はそうは思わない。動物は自然食を必要としているのだ。
- 「ゴミが入っていって、ゴミが出てくる」
- アレルギーを起こすペット用に作られたラム&ライス食の広告のいかがわしさに最も関心を寄せている。
- 戸惑っている飼い主は多い。遺伝子組み換えや低価格のフードに関しては、たいてい中身の比率が適切でない。
- 人間用の食べ物と同じで、消費者は製品が健康に悪いことはないと信じている。が、本当は健康に悪いものが多いのだ。
- マーケティング担当者は消費者が欲しがるものを製品化する。ラム&ライスなどのアレルギー用のフードは今や排泄用のフードとして誤って用いられている始末だ。
- 手作り食の人気はマーケティングの世界では「えせ科学」として扱われることが多いようだ。
- 栄養学に関する獣医学論文をいくつも読み、質や効果の違ったブランドを置く「比較ショップ」の実現はほとんど無理であると思った。私の最大の心配は、獣医師も素人も情報を与えられず質の高い選択をできないということだ。
- 「ライトフード」は必ずしもカロリーが低いということではない。
- 一般に、ペットはどんなメーカーのフードを食べても長生きで健康だ。
- 栄養の「過剰」と「欠乏」に関して基準が設けられるべきだ。
- 人間の食用には使えない死んだ動物、病気の動物、死にかけの動物の肉をペットフードに使っている。
- いろいろな症例を見てきて、多くの疾患は商用フードによるものだということが分かった。
- 大衆はペットフードがすべての動物の栄養を満たすために必要なものだと思っている。
- ペットフードのなかのいくつかはジャンクフードで、毎日のベースになる食事に使うべきではない。
- 「ヒト食用に適さない」と表示された肉がドッグフードの最大のタンパク源なのだ。
- ペットフードの質の信じがたい劣悪さが、犬猫の増えつづける慢性退行性疾患の最大の原因だ。
- ガンや甲状腺機能不全症の原因は私たちが与えている食事である。
18.あなたが「健康な」犬に手作り食を勧めることはどれくらいありますか?
| 頻繁に勧める |
30 |
| たまに勧める |
27 |
| めったに勧めない |
39 |
| まったく勧めない |
50 |
19.あなたが「健康な」猫に手作り食を勧めることはどれくらいありますか?
| 頻繁に勧める |
29 |
| たまに勧める |
21 |
| めったに勧めない |
40 |
| まったく勧めない |
47 |
20.あなたが病気の治療中に手作り食を勧めることはどれくらいありますか?
| 頻繁に勧める |
47 |
| たまに勧める |
68 |
| めったに勧めない |
28 |
| まったく勧めない |
3 |
21.あなたが自分で飼っているペットには何を与えていますか?
| Hills Science |
69 |
| Iams/Eukanuba |
43 |
| 手作り食 |
34 |
| IVD(Select
Care/Choice) |
8 |
| Nutro |
7 |
(複数回答可)
22.獣医の資格を得たのは(得る予定なのは)いつですか?
| 2000年以降 |
4 |
| 1990年代 |
57 |
| 1980年代 |
54 |
| 1970年代 |
19 |
| 1960年代 |
10 |
| 1960年以前 |
3 |
23.獣医栄養学の授業を受けましたか?
24.はいと答えた人はどこで受けましたか?
25.どの獣医学校を卒業しましたか?
| 獣医学校California-Davis大学 |
21 |
| Cornell 大学 |
20 |
| Pennsylvania大学 |
11 |
| 外国 |
10 |
| Colorado州立大学 |
9 |
(上位5位回答)
26.あなたの専門は何ですか?
27.あなたの治療法はどういうものですか?
| 従来の逆症療法 |
80 |
| 専門医 |
17 |
| オルタナティブ(代替)療法 |
2 |
| ホリスティック療法 |
16 |
| 複合型 |
33 |
28.その他のコメント
- 今までに菜食やサプリメント、卵製品を使って主要器官の疾患をもつ
犬や猫を多数救ってきた。
- 犬や猫のフードの中の肉は人の食用に適さないものであることがほと
んどだ。
- ペットフードの質を向上させるための努力はきわめて評価されるべき
ものだ。また、ペットフード産業界の不正なニセの栄養広告をあばくこ
とも大切だと思う。
- ペットフードの中身を研究するのをメーカーは長い間延ばし延ばしに
してきた。
- ほとんどの飼い主はペットフードの中身に気付いていない。
- 長年にわたって新鮮な自然食をという草の根運動が育ってきたが、獣
医師はそれについて行くだけといった状態だ。飼い主が食事について獣
医師よりも深い知識をもっているということを我々は恥じねばならない。
- 病気を予防・治療するため、栄養学が将来の唯一の希望だ。
- 人間の食品も同じだが、ペットフードに関しても正確な情報を得るこ
とが正直でない宣伝で難しくなっている。
- 医学全体で、栄養学が最も見過ごされ、おそらく最も重要な一面をもっているだろう。
- 少しでも加工されていない処方食が生産され使用されていくことを願
う。犬には菜食を最も勧める。
- 病気の動物の肉を避け、屠殺場の利益を減らすため、菜食を勧める。
- これでもかこれでもかと栄養を押し付けられているような気がする。
あちこちの製品に私は困惑している。
- 犬や猫の摂取するタンパク質が健康で自然な生活をした動物からのものであり、その動物がストレスや苦しみを最小限しか味わわなければ一
番良い。
- 手作り食は、飼い主が適切に作れるのかという点で少し恐れがある。
むしろ給与試験を通ったフードを使う方が良い。
- 動物の多くは手作り食を受けつけず、栄養がわずかに不足するものもいる。
- 健康のため、栄養はとても基本的なものである。
- 菜食は犬には良いが、猫には勧めない。
- アメリカ市民が犬や猫のフードに何が行われているのかを知ったら、
商品を買う際の選択に重大な変化が現れるはずだ。
- 私は飼い主に栄養のことを知ってもらうため、 APIの印刷物を使って
いる。昔からの飼い主は「食卓のゴミ」をペットによく与えてられてい
たものだ、と気付き喜んでいる。
- 栄養に関して飼い主が誤解していることがよくある。フードにビタミ
ンが足りないと思って逆に与えすぎているが、ペットの病気は食事によ
るものより遺伝によるものが多いと思う。
- 値段の高いフードが、質の高い企業の作る「開発途上の」フードより
も良いとは思わない。
*栄養が100%ありバランスがとれていて、値段も3分の1という広告によって、多くの人が低価格の無名ブランドのフードを買っている。